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『麦秋至』
様々な命が満ち足りて成長をしていく時期、二十四節気の「小満」も七十二候「麦秋至」(むぎのときいたる)に入ります。この「秋」は実りのときを表します。初冬に蒔かれた麦が黄金色に熟し収穫を待っています。この収穫期を「麦秋」(ばくしゅう)ともいい、夏の季語のひとつです。麦の収穫に関する「麦刈」「麦打」「麦埃」「麦藁」なども季語となっています。麦にも花言葉がありますが【富】【繁栄】【希望】といった大変縁起のよいものです。あまり知られていないかもしれませんが結婚式のブーケや節句のアレンジメントにも麦は使われるそうです。麦が収穫、繁栄の象徴とされることはヨーロッパの神話にも描かれています。ギリシャ神話に登場する豊穣の女神デメテルは人間に穀物の栽培を教えたとされます。麦はこの女神のシンボルです。また古代ローマでは【豊穣】の象徴である麦は結婚式のようなおめでたい儀式にかかすことのできないアイテムでした。麦でできたビスケットやパンが儀式に用いられたといわれます。世界的なラッキーアイテムとして長い歴史をもつ麦。旬の時期に取り入れることで、より強いご利益が感じられたらなと期待してしまいます。 -
『吉祥寺のタヌキ』
5月31日までアトレ吉祥寺では〈井の頭自然文化園80周年おめでとうキャンペーン〉というのを行っています。当店でもおめでとうの気持ちを込めて動物をモチーフとした商品を一部ご紹介させていただいております。井の頭自然文化園はまさに吉祥寺のシンボルであり人気スポットでもあります。吉祥寺通りを挟んで動物園(本園)と水生物園(分園)があるのですがつい先日、その吉祥寺通りでタヌキに遭遇しました。井の頭公園は緑豊かですし、きっといるだろうな、とは思っていましたが動物園でもタヌキが飼育されているので、そのすぐ脇で野生のタヌキに会うというのはなんだかおもしろい状況だと感じました。タヌキは昔話にもしばしば登場する、日本人にはなじみのある動物の一つです。信楽焼のタヌキの置物を町で見かけるのも珍しい事ではありませんよね。タヌキは、「タヌキ」=「他抜き」=「他を抜く」という語呂合わせから【他人より抜きんでる】という想いが込められます。そこから【商売繁盛】【出世】【金運上昇】【開運】といった縁起物なのです。ちなみに信楽焼のタヌキは「八相縁起」といって「笠」「目」「笑顔」「徳利」「通い帳」「お腹」「金袋」「しっぽ」の8つのパーツごとにそれぞれ【災難除け】や【お客様との信頼関係】など縁起のよい意味をもつといわれます。長年、住みたい街ランキングの上位に入り多くの人が集まる吉祥寺。ひょっとしたら、吉祥寺に暮らすタヌキたちのご利益もあるのかもしれませんね。 -
『福がかえる、カエル』
先週立夏を迎え日差しが強くなってきているのを感じることが多くなりました。生き物たちも元気に動き回る時期となります。冬眠から目覚めたものもアイドリングを終え本格始動、といったところでしょうか。私たちの身近にいるカエルも、そんな生き物のひとつです。カエルが縁起の良い生き物とされているのはご存知の方も多いでしょう。このカエルが愛される“キャラクター”となっている理由にはその縁起の良さもあると考えられます。古代日本ではカエルは神様の使いであり奈良の遺跡から祭祀で使われたとみられるカエルの骨が出土しています。カエルの縁起の良さには長い長い歴史があるようです。【無事に帰る】とか【福がかえる】などと結び付けられますし前にしか跳ばないため【仕事運上昇】や【出世】また【お金が返る】として【財運UP】の意味も、もつと言われます。ガマ口財布の“ガマ”はガマガエルを指しますがその形が似ているというだけでなくカエルの縁起の良さにあやかって名付けられた側面もあったかもしれません。世界をみてもカエルを縁起の良い生き物とする国は多く【豊穣】【子宝】【厄除け】【浄化】【無病息災】【雷よけ】など少し調べただけでも次々と見つかります。こんなに縁起がいいのならひとつカエルのアイテムを持ってみようかな、そんな気持ちになってきました。 -
『お茶漬けの日』
2012年に5月17日が「お茶漬けの日」として登録・制定されています。さらっといただくお茶漬けは私も大好きなメニューです。お茶漬けには基本的に煎茶、ほうじ茶などを使いますが今は出汁やスープ、また日本茶以外のお茶など様々なものをかけていただくものもお茶漬けとよばれます。日本で稲作が始まるとともに、ご飯に水などをかけて食べることはあったと思われ、平安時代には文献に「湯漬け」が登場。江戸時代になるとご飯+漬物+お茶のお茶漬けが食べられれようになりお茶漬けの店もあったそうです。ファストフード店の様ですね。お茶漬けの具の代表ともいえるのが海苔。慶事でも弔事でもギフトとして重宝されますが海苔は縁起の良い食材でもあります。古の時代から食べられ、朝廷への献上品でもあった海苔は実は昭和初期の頃までその成長の仕組みが分かっていなかったそうです。生産量もかなり不安定で運にまかせる部分もあり【運草】ともよばれる希少で大変に高級品でした。そのためおめでたいときの贈答品に選ばれるようになり縁起物となったそうです。様々な人の努力があって、今では気軽に食べることができるのだなと知る事ができました。 -
『立夏のころ』
東京では日中半袖で過ごせる日もあり、木々の緑もだんだんと濃くなってきています。さて5月5日は二十四節気の7番目である「立夏」(りっか)となります。春がピークとなり夏のやってくる気配があらわれます。江戸時代の暦の解説書である『暦便覧』には「夏の立つがゆへ也」と記されています。「立夏」の期間をさらに詳しく見てみましょう。七十二候はこちらです。初候【蛙始鳴】(かえるはじめてなく)春に冬眠から目覚め、活動を始めた蛙たちの恋の季節が始まります。次候【蚯蚓出】(きゅういんいずる)蚯蚓とはミミズです。ミミズが目を覚まし地上に這い出てくる頃です。「自然の鍬(くわ)」とも呼ばれるとおりミミズは豊かな土壌を作る働きをしてくれます。末候【竹笋生】(ちくかんしょうず)たけのこが生えてきます。たけのこは成長が早く、まっすぐ伸び、また丈夫であることなどからおめでたいものとされます。「立夏」のこの時期には、子供の日や母の日がありますよね。たけのこ料理は、子供たちの【健やかな成長】や【立身出世】またお母さんの【無病息災】を願い是非、食べたい旬の味覚です。ゴールデンウィークの忙しい中でも季節の変わり目を楽しむ視野を持ちたいものですね。