• 『おひさまとお月さまのように』

    『おひさまとお月さまのように』
    幼い頃に観た『みんなのうた』の中に 中林三恵さん作詞作曲の「赤い花 白い花」という曲が ありました。 シンプルながらも美しく色彩を放つような詞と どこか憂いを秘めた儚げなメロディ。 そして 現代の竹久夢二ともいわれる 林静一さんが描く少女の映像。 その清廉な世界観が私を魅了しました。 この曲で歌われている花とは 何の花か。 調べてみましたが 結局分かりませんでした。 そもそも、具体的なモチーフは 無いのかもしれません。 ただ、この曲を聴くとなぜか椿の花が 私の頭に浮かぶのです。 まだ冷たい空気の中でハッとさせるような 気品のある花を咲かせる椿。 勝手な想像ですが「赤い花 白い花」に ぴったりな気がするのです。 この曲はどこか悲しげですが 椿には縁起の良い意味があります。 艶やかな常緑の葉をもち冬から春にかけて 花を咲かせる椿。 文字通り椿は春を告げる、神聖なる植物として 古くから愛されてきました。 また 「厄除け」や「長寿」 「吉祥」などの意味があり 元々は松竹梅の梅と同じぐらい 縁起の良いものとされたそうです。 正倉院には 「卯杖(うづえ)」という、邪気を祓う儀式で使われた 椿の枝でできた杖が納められています。 また、源氏物語には椿餅を食べる場面があるそうですが、 春を待ちわびる気持ちと邪気を祓う意味があったとも 考察されます。 平安時代には高貴な花として扱われていたのです。 赤い椿の花言葉は 「控えめな素晴らしさ」 「謙虚な美しさ」 白い椿の花言葉は 「完全な美しさ」 「至上の愛らしさ」です。 椿の持つ意味は 「赤い花 白い花」に出てくる 私の想像の中の若者たちにも 相応しいなと感じます。
  • 『魔を滅する  豆まき』

    『魔を滅する  豆まき』
    37年ぶりだそうですが 今年は2月2日が立春の前日、 節分です。 季節が冬から春に変わる節目は二十四節気においても 一年の始まりであり その昔、立春の前日は大晦日と同様、 年の締めくくりとして重要とされました。 〈季節の変わり目には鬼がやって来る〉 目には見えない悪しきもの、鬼。 宮中で身分の高い貴族が鬼に扮装した者を 追い払う儀式であった 「追儺」「鬼やらい」が 現代の節分に繋がっています。 元々、日本には「散供」と呼ばれる、 穀物を撒いてお祓いをし 場を清める行事があったそうです。 穀物には魔除けの力や霊力があるとされていたのです。 節分で撒く豆にも、その力が宿っています。 豆は「魔滅(まめ)」に通じ 「魔の目(まめ)」 つまり鬼の目に投げることで 魔を滅する、というわけです。 この時注意すべきは豆は必ず炒ったものを用いる ということです。 市販されている節分の豆はきちんと炒られているので 安心ですが大切なポイントです。 拾い忘れてしまった豆から 芽が出るのは縁起が悪いとされ また 「炒る」が 「(鬼を)射る」に 繋がるのだそうです。 さらに「陰陽五行説」によると鬼や大豆は「金」のグループに 入るそうですが 「金」は「火」によって力をなくすといわれ 豆に火を入れることで鬼を封じるという説もあるのです。 この炒った大豆を枡にいれ神棚にお供えしたものを 「福豆」と言い 福豆を日中に準備して鬼が来る夜に撒くのが フォーマルな豆まきです。 豆まきは 楽しい行事でもありますよね。 笑顔にも魔を滅する力が宿ると信じます。 福豆と、笑顔で 見えない鬼を追い払いましょう。 そして最後、豆を食べるのもお忘れなく。 食べることで鬼退治が完了しますから。
  • 『瑞兆花 水仙』

    『瑞兆花 水仙』
    雪の中でも咲き、冬の季語でもあるスイセン。室町時代の辞書にはすでに「雪中花」と記されいる、日本各地で見られる花です。新年の頃に見ごろとなり春をいち早く知らせるおめでたい兆しの花=瑞兆花といわれます。水仙という名は中国の古典の一節 在天日天仙 在地日地仙 在水日水仙に由来するといわれその花の美しさと香りがまるで仙人のようだということからつけられたそうです。中国では「清楚」をあらわす花ともいわれそしてその凛とした香りは世界中で大変人気があります。日本でスイセンといえばニホンズイセンです。白い花の中央に黄色い副花冠があります。「知性」を象徴する花で水仙の仙は「長寿」を表すといわれます。また、江戸時代には引越しなどの節目を彩る縁起物とされたそうです。風水の世界でも「幸福を招く」とくに「金運を高める」といわれます。スイセンは私たち日本人にとってたいへん馴染み深い花ですが実はヨーロッパが原産で学名を「ナルシサス」といいます。 ナルキッソスという美少年が 泉に映った自分の姿に恋をして そこから動けず死んでしまい、 そのあとに スイセンが咲いていたこの有名なギリシャ神話が由来という説がありスイセンの花言葉は「自己愛」や「自惚れ」となったそうです。世界中で愛されるスイセンに人々がたくさんの意味と物語りを与えたのもその美しい立ち姿を見れば頷けるなと感じるばかりです。
  • 『天神様と梅の花』

    『天神様と梅の花』
    東風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて 春を忘るな 菅原道真が詠んだ歌です。     春になり、東風が吹いたなら  その香りを私のところまで  運んでくれ、梅の花よ  主人が居ないからといって  春を忘れないでおくれよ 京から太宰府に左遷されるとき 家の庭の梅の木を思い詠んだといわれます。 学者でありながら右大臣まで のぼりつめた菅原道真は権力闘争の果て、 太宰府に送られ京に戻ることなく亡くなります。 春になると東から吹く風。 それは京から太宰府に向かって 吹く風であり道真の心模様が想像できます。 その後、道真は神として祀られ 学問の神様として信仰されるようになりました。 毎年この時期になると天神様を 多くの受験生がお詣りする姿が見られます。 梅を愛した道真。 お祀りする多くの神社には梅の木が植えられました。 天神信仰の広まりで梅の花の人気も高まったそうです。 まだ厳しい寒さが続く時期にいち早く花を咲かせる梅は 大変縁起が良い花とされます。 「松竹梅」はおめでたいモチーフの代表ともいえますし 「飛梅」「ねじり梅」「槍梅」「梅鉢」など 様々な図案があり、数ある文様の中でも とくに多くのものに用いられている柄でもあります。 【忍耐】や【生命力】【希望】【子孫繁栄】を意味する 吉祥文様の梅。 花言葉は 【高貴】【忠実】【不屈の精神】です。 どうぞ受験生の皆さんの重ねてきた努力が 春を呼ぶ、高貴な花を咲かせますように。
  • 『小正月』

    『小正月』
    1月15日。 新年初めの満月、小正月。 地域によって 元日から15日までの期間や、14日の日没から15日の日没、 14日から16日までの三日間とするようなところなどありますが 月の満ち欠けを基準に暮らしがあった時代、 満月がスタートの日であり また、縁起の良い日でもあったことの名残りと考えられ、現代へと受け継がれています。 早速、小正月の行事や風習をいくつかご紹介いたしましょう。 【小豆粥・ぜんざい 粥占】 小豆のように赤い色の食品には邪気を払う、 厄除けのご利益があるといわれていて、 小正月に小豆粥やぜんざいを食べます。 枕草子にも書かれている程 古くからの風習です。 神様に小豆粥を献ずる際に粥で一年の農作物の吉凶を占う 「粥占」をする神社もあります。 【火祭り】 左義長やどんと焼きなど全国で様々な火祭りが行われます。 正月のしめ飾りや門松、前の年のお札や縁起物を火に入れ 無病息災などを祈念します。 その神聖な火で焼いたお団子を食べる という風習もあります。 【餅花 繭玉など】 ヤナギなどの枝に紅白の餅を花のようにつけたものです。 五穀豊穣・家内安全を願う意味があるとされます。 養蚕が盛んだった地域では繭に見立てて繭玉と呼び、 蚕の安全を願うそうです。 【道具の年とり】 農家で使われる道具や農耕馬にお供え物をして感謝する風習です。 【成人の日】 小正月に行われていた元服式を由来として定められたのが 成人の日です。 2000年から1月の第二月曜日となりました。 【なまはげ】 現在は大晦日の行事である なまはげ行事ですが、かつては小正月に行われていました。 なまはげは悪事を戒め、吉事をもたらす、 神々の使者として信仰を集めます。 いかがでしたか? 小正月の行事には農業に関連するものや、 家庭的なものが多いのが特徴です。 実は 「二番正月」「女正月」「花正月」などなど 呼ばれ方もたくさんあり、 地方ごとに育まれた文化・風習が様々みられるのが 小正月ともいえます。 地元の風習を調べてみるのもおもしろそうです。 私はひとまず、15日には無病息災を祈ってぜんざいをいただこうと思います。
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