長寿を象徴する代表的な花”菊”|吉祥のレン公式オンライン
国を代表する花"菊"。
見た目も美しく芳しい香りがする菊は、長寿を象徴する代表的な花。
菊を描いた文様は、ご存知のように吉祥柄"菊紋"として古くから愛されています。
本日はその"菊紋"について、少しお時間を頂戴出来たら、と思います。
皇室の紋章としても使われている菊は、昔から高貴な花として位置づけられています。
菊にもたくさんの種類があり、観賞用だけでなく食用としての菊も栽培されていることはご存知の方も多いでしょう。
秋になると各地で菊花展が催され、日本人にとっては馴染み深い身近な花となっています。
秋の花とされる菊ですが、格調高い花柄なので季節を問わず用いられています。
着物、日本のパスポートの表紙、50円硬貨のデザイン…さらに1899年から1908年にかけて発行されていた切手には菊の模様が入った種類もあり、今では「菊切手」と言われて高値で売買されています。
紐解くと、菊は中国原産で奈良時代に薬草として日本に伝わったとされています。
そして日本でも中国流に、重陽の節句(九月九日)には菊花の宴を開いて菊酒に不老長寿を願い、鑑賞の対象とするようにもなりました。
菊紋としての意匠化は鎌倉から室町時代にみられ、桃山時代には日本的意匠の秋草の一つとして扱われるようになりました。文様には、様々なデザインや形式があり、菱形や丸と組み合わされることも多いです。丸い形が太陽を思わせることから、花柄の中でも最も位の高い花として用いられています。
さて、天皇家が使用している菊紋ですが、戦国時代に「戦果を挙げた武将への褒賞として下賜される」ということが行われるようになりました。例えば、将軍となった足利尊氏は当時の後醍醐天皇から菊紋を下賜されています。また、豊臣秀吉も後陽成天皇から菊紋を下賜されており、大変喜んで調度品などに使用していたと言われています。
当時、天皇は神様と同等ともいえる存在。
その天皇から家紋を下賜されるということは、武将たちにとって何にも代えがたい名誉でした。それだけに、勝手に真似をして菊紋を使用した人物がいる一方で、「恐れ多い」と辞退した人もいたほどです。
菊紋の存在は、それほど大きなものだったのですね。
菊の花には、他にも無病息災・邪気払い・心身の安定など様々な意味が込められています。確かにその形状は、私達人間を大きく温かく包み込んでくれる太陽の姿形と重なり見える気がします。
まさに世界中の誰も皆が踏ん張り時の今、私達の心に寄り添い、豊かな心へと導いてくれる文様といえます。