『かき氷』
厳しい暑さが続く毎日。
立っているだけで汗が噴き出してきます。
そんな時に街で見つけた「氷」と描かれたあの旗。
思わず店に吸い込まれそうになります。
毎日でも食べたいかき氷ですが
昔は氷自体が大変高価なものでかき氷も庶民が食べられるものではなかったそうです。
ところが明治時代に変化が起こります。
中川嘉兵衛というひとが安い氷を普及させようと奮闘します。
運搬ルートの整備など、氷を運ぶにはお金も時間もかかることが一番の問題でした。
そして苦労の末たどり着いたのが北海道の五稜郭。
当時の五稜郭外堀には純度の高い厚みのある良い氷が大量にとれ、
また輸送には函館港の大型蒸気船が利用できることで問題をクリアできました。
中川嘉兵衛と「函館氷」のおかげで庶民もかき氷を食べられるようになったのです。
ところがこの成功を見て不衛生な氷でかき氷を売る者たちが現れます。
これを取り締まるため政府は氷の業者に衛生検査を導入。
合格した業者に配られたのが「氷」と描かれた旗でした。
当時の旗には産地や販売者名が載せられていたそうです。
今私たちが街でみかけるあの旗はこの、いわば「営業許可証」のなごりだったのですね。
また「氷旗」にはしばしば
【波に千鳥】がデザインされています。
波は北海道から蒸気船で海を越えて氷を運んだことをイメージしたもので、
千鳥は日本の伝統的な模様を使い清涼感を表したものだといわれます。
【波に千鳥】は「組み合わせのよい二つのもの」です。
世間の波を一緒に乗り越えていく意味があり【家内安全】や【夫婦円満】を、
さらに「千鳥=千取り」の語呂合わせで【勝運祈願】をあらわします。
暑い日はかき氷を食べて体も心もクールダウン。
それが【家内安全】にもつながるかもしれません。