『霜降のころ』




もうすぐ二十四節気の
第18節
「霜降」(そうこう)を迎えます。
今年は10月23日です。


江戸時代に書かれた暦の解説書
暦便覧には
「つゆが陰気に結ばれて
霜となりて 降るゆへ也」
とあります。

雨露が冷気にあたり霜柱ができる
という意味です。


七十二候はこちらのとおり。

初候
【霜始降】
(しもはじめてふる)

昔、霜は雨のように空から降ってくると
思われていたそうです。

次候
【霎時施】
(こさめときどきほどこす)

時雨が降る時期です。
動物たちも冬支度を始めます。

末候
【楓蔦黄】
(もみじつたきばむ)

山が色づいてくる頃。
美しく染まる木々が私たちを魅了します。


ところで
こちらのコラムに度々登場する
百人一首ですが
中でも私の好きな一首が
秋の歌。

伝説の歌人ともいわれる
猿丸太夫によるこの一首、

奥山に
紅葉踏みわけ鳴く鹿の
声きく時ぞ
秋は悲しき

です。


人里離れた山奥。
赤や黄色の鮮やかな
落ち葉の絨毯の上を
美しく立派な角をもった
一頭の雄鹿が歩いてくる。

そして雄鹿は、
離れ離れになってしまった
雌鹿を呼ぶかのように
天を仰いで高く鳴くのだ。

その声を聞いていると
秋はとても悲しい季節だと
感じられる。


貴族らしい感性の歌ですが、
視覚、聴覚だけでなく、
嗅覚や触覚をも刺激するかのようで、
味わい深い歌だと思うのです。


今月の上旬は夏日が続いたりして
あまり実感しませんが
「霜降」のころが終われば
暦の上では
「立冬」となります。

秋は
気づけばあっという間に
過ぎていく季節かもしれません。

五感で存分に感じてみましょう。
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