『金魚のいる夏』
幼い頃、家の下駄箱の上に飾り気のない水槽があって
金魚がゆらゆらと泳いでいた遠い記憶。
キャリコ琉金や和金、だったでしょうか。
今思うととても昭和らしい情景です。
金魚は人が作った魚。
中国が発祥ですが日本でも多くの品種が生み出され
2015年の時点のデータですと組合が認定している日本産の品種は
33種にもなるそうです。
たいへん日本人に愛されている金魚。
江戸時代の初期にはまだまだ贅沢品で、
【暑気払い】として金魚を楽しむのは豪商などだったようです。
江戸の中期には庶民にも広まりますが
ガラスが普及する迄は桶や火鉢などが飼育に用いられたため
上から見た姿の美しさが重要とされました。
上から見る金魚といえばランチュウを思い浮かべますが、
私も大好きな品種のひとつです。
ところで、このように金魚は、心を癒し涼を呼ぶだけでなく
縁起が良いといわれるのもご存じでしょうか。
日本では特に紅い金魚が
【病除け】【魔除け】のご利益があるとされました。
戦時中には【爆弾避け】の噂が広まった事もあったとか。
また原産地中国では【金運上昇】の象徴なんだそうです。
どこかノスタルジックな金魚たち。
金魚のいる懐かしい夏が私たちを元気にしてくれるような思いがします。