『秋の七草』
今、二十四節気「処暑」の中で
七十二侯
【天地始粛】
(てんちはじめてさむし)
といわれる頃。
そして続く末候は
【禾乃登】
(こくものすなわちみのる)
となります。
「粛」という字には
しずまる、という意味があります。
一日の中で
秋の空気を感じる時間も
でてくる頃です。
田んぼでは
稲が実り始め
稲穂が
少しずつ色づいてきます。
「禾」は
稲穂を表す文字だそうです。
野山では
秋の七草が
花をつけている頃のようです。
秋の七草は
春の七草のように
おかゆにして食べたりはしません。
主に観賞して楽しむ植物です。
萩
すすき
葛
撫子
女郎花(おみなえし)
藤袴
桔梗
これが秋の七草です。
すべて薬草で
生活に役立つ草花です。
例えば
葛は風邪のときにのむ
葛根湯に用いられるといえば
ピンときますよね。
秋の七草が選ばれたのは
奈良時代だそうです。
すべて秋の季語であり
多くの歌人にも愛され
現代まで伝えられています。
美しい花を咲かせるから
というのはもちろん、
冬に備えて
薬学の知識としての
意味も、
もしかしたらあったのかな
と想像します。
《 秋の野に
咲きたる花を 指折り
かき数ふれば
七種の花 》
《 萩の花 尾花 葛花
撫子の花 女郎花
また藤袴 朝貌の花 》
万葉集で詠まれた
山上憶良のうたが
秋の七草の始まりと言われます。
なんだか
メロディをつけて
歌いたくなるような、
楽しくかわいらしい
歌のように感じるのは
私だけでしょうか。