『虫の声』
私たちが秋の訪れを感じるもののひとつに「虫の声」があります。
唱歌の「虫のこえ」の中で歌われる虫たちは、まさに秋の代表といえるでしょう。
マツムシ「チンチロチンチロ…」
スズムシ「リンリン…」
ウマオイ「チョンチョン…スイッチョン」
他にも身近なところでは「リリリリ…」というエンマコウロギの声もよく耳にしますね。
昔、風鈴など鈴の音には【邪を除ける力】があると信じられました。
鈴や鐘の音が聞こえる一帯を清めるのだそうです。
昔の人はスズムシの鳴き声にも魔除けの意味を込めたのでしょう。
スズムシが鳴き始めると風鈴を外す、という風習があったとききました。
夏の間、【空間を浄化】していた風鈴にかわって
スズムシがその役を引き受けたのかもしれませんね。
子供のころ秋のお祭りの時期に祖母の家に行くと
飼育されていたスズムシが美声を響かせていました。
お囃子とスズムシの声。
人々の熱気と、神聖な夜の空気。
日本らしい、そういう原風景が私の心にあることを久しぶりに思い出しました。